接着液について

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Mar 1
2016
Posted in blog, miracle world by Minako at 02:32 pm | No Comments »

春が待ち遠しい今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
今回はちょびっと本筋に戻ります。

ルリユールは常に「接着」の連続です。
ボール紙や見返し、革を貼り付けるのはご存知の通りですが、バッキングした背の凸凹をならすために何度か紙を貼ったり、革を折り返した際に生じる段差を均等に平らにするためにも、紙を貼り厚みを合わせます(コンブラージュ)。
それら接着に使用する「のり」の種類としては、colle de pâte(farine)、colle forte、 colle de gélatine、 colle d’amidon、 colle de gommeなどがあります。
・・・と、ルリユール部門はこの辺にしておいて、本題の(?)ドリュールの「接着」についてご紹介しましょう。

金箔をただ革の上にのせただけでは接着はできません。紙をのりで接着するように、箔も「のり」を使って定着させます。
今現在、私も含めてほとんどの人は市販されているfixorという、漆・アンモニア・水の混合液を使っていると思います。
fixorは、1931年に製造され始めたそうですが、それではそれ以前は何を使用していたのでしょう。

fixor

テキストによっていくつかの異なるレシピが紹介されていますが、基本的には卵の白身と酢を混ぜたものが使われていました。
金箔がドリュール装飾にも使われるようになった時期からの接着液ですので、長い歴史があり接着液の父(または母)です。

この「卵白液」は100%天然材料でできていますので、鮮度が重要になります。
酢を混ぜているのは保存の目的もあるようですが、そこへさらにグリセリンとレモン汁も加えているレシピもあります。
夏場は夜の涼しいうちに作るように、とか、冬に比べて酢の分量を多めにするように、などの指示もあったりして、フレッシュさを保つことに気を配っています。
まさに、お料理です。

私の持っている資料の中では、1965年、1980年、1990年にいずれもフランスで出版されているものには、すでにfixorの使用が明記されています。
一方、1890年(フランス刊)、1946年、1951年出版のものには、卵白液のことしか書いてありません。
fixorは1931年には出現していたのですが、当時はあまり重宝されていなかったのでしょうか。
それとも後者の2冊は英語圏の方が著者ですので、フランスとの時差があったのでしょうか・・・。

資料の中で、たまに見かける「おしっこの使用」も疑問が湧きます。
卵は滋養強壮ですが、尿は不用物です。
実際に当時の職人たちは使ったことがあったのでしょうか。

百聞は一見に如かずと言いますので・・・、いやいや!絶対に試しません!


つづく



  1. It‘s quite in here! Why not leave a response?




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