読書ノススメ・其ノ三

blog . miracle world | Les fragments de M

Jul 15
2015
Posted in blog, miracle world by Minako at 03:41 pm | No Comments »

毎日地獄の30度越えが続きますが、いかがお過ごしでしょうか。
今回は久しぶりの読書のススメです。気分だけでも、涼しいイギリスにレッツゴー!


「一杯のおいしい紅茶」 ジョージ・オーウェル著・小野寺健編訳、朔北社 1995年

学生時代には、「あ、動物農場の作者ね」、程度の認識でしかなかったのですが、その後何かのおりに「パリ・ロンドン放浪記」を読んでから、ジョージ・オーウェルは大好きな作家のひとりとなりました。
「パリ・ロンドン放浪記」は、なんといいますか、ドキュメンタリーと小説の合いの子のような感覚で、とても生き生きとした描写のおかげで、読んでいると自分も衛生環境の悪い店で、毎日皿洗いをして働いているかと錯覚するほどでした。

オーウェルはイートン校に進んだ賢い人でしたが、社会をくまなく観察しつづけた鋭い人でもありました。
彼の行動力に文才も加わって、とても密度の濃い興味深い作品が多いと思います。

以前、紅茶とコーヒーの特集をした雑誌を買った時に、紅茶の入れ方について言及したオーウェルのエッセイの抜粋が載っていました。
彼が紅茶の入れ方のことも書いているとは、さすがイギリス人、面白いなぁと思い、エッセイと評論を集めた「一杯のおいしい紅茶」を読んでみました。
例えば、日本人の私が、オーウェルを家に招待して紅茶をお出しすることになったら、とても緊張してしまうような、そして、絶対ダメだしされて入れ替えなきゃいけない、もしくは、彼自身が入れ直す、という場面がイメージできてしまうほどのこだわりが書いてあります。さらに彼は紅茶に砂糖を入れることは禁止していて、「そんなことするなら、白湯に砂糖を入れて飲みなさいよ、キミ」と言っています。

そして、ユーモアについても書かれています。
可笑しいというのは、既成の秩序がひっくり返るときであり、「権威が一本の鋲の上に尻餅をついたところだ」と言っています。確かに、イチ親衛隊員の頭の上に鳥の糞が落ちるより、ヒトラーの頭上に落ちる方が何倍も面白いわけです。

イギリス人の専売特許でもある、紅茶とユーモア(ウィット)への考えをジャーナリスティックに(?)知ることができて、とても楽しい読書でした。


つづく・・・



  1. It‘s quite in here! Why not leave a response?




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