本の各部名称について

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Oct 10
2012
Posted in blog, miracle world by Minako at 11:56 pm | No Comments »

書物装飾の原点を掘り起こす!ミナコのミラクルドリュールワールド。

ドリュールにまつわる素朴な疑問の数々にフラグム中村が大幅に寄り道しながら迫る!

 

第3回

「本の各部名称について」

今回は、まずルリユールを語るうえで、本を構成しているとても重要で基本的な部位の名称についてお話したいと思います。

 

私たちの住む家にも、玄関・居間・ベランダなどパートごとに名前があるように、テクストを包んでいる本にも各箇所に呼び名があります。

私は製本の知識を何も持たないまま、ただ「ルリユール」という言葉だけを頼りにフランスに渡りましたので、帰国してから技術面等々のことを日本語で確認していくという状態でした。

そこで発見したのが、面白いことに、日本語でもフランス語でも、人間の身体のようなネーミングをされている箇所がいくつかあるということでした。

 

画像出典:bibliothèque Pierre-Lucien Martin, catalogue de l'éxposition à la Librairie Auguste Blaizot

tête(頭)→天

queue(お尻)→地

dos(背)→背

oreilles(耳)→耳

mors(クツワ)→のど

などなど・・・

それと関係性があるのかどうかはわかりませんが、よく本はとても官能的に女性のように描写されます。やはり読書という行為は個人的で内なるものであり、さらにビブリオフィル(コレクター)になると、独占欲というか所有欲があらわになってくるのでしょうか。女性への偏愛、書物への偏愛・・・。
一度、何処かの某小説に出てくるようなルリユールを実現してみたいものです。

 

話は戻りまして、革製本になりますと、背の部分はバッキングで丸背にされ、耳を出されて天と地の両端にtranchefile(花布)がつき、それを覆うように三日月型に革がかぶさります。

 

画像出典:bibliothèque Pierre-Lucien Martin, catalogue de l'expositon à la Librairie Auguste Blaizot

その部分はフランス語では「coiffe」と呼ばれ、「(婦人の)かぶり物」という意味です。なんともまあ、ポンパドール夫人のようなご婦人を思い浮かべてしまうのは、私だけでしょうか。外出時の身だしなみとして帽子をかぶる(?)、というわけです。

coiffeの動詞は「coiffer」で、「かぶる・髪を整える・散髪する」、そこから派生して、美容院のことを「salon de coiffure」と言います。

メイン通り・路地に関わらず、パリにはこれでもかっ!というほど美容院があります。犬も歩けば美容院にあたる、と言った具合です。

私が住んでいた細い通りにもチェーン店と個人店の美容院が二軒あり、一度思いきって個人店のほうに行ったことがあります。

カットよりもマシだろうと思い、パーマに挑戦してみました。なぜなら、リヨンの語学学校に通っていた時に、クラスメイトのベトナム人の女の子が美容院に行くたびに、ぱっつんぱっつんの日本人形ヘアになって登校してきたので、一抹の恐怖をおぼえていたからです。(ボキャブラリーのなさによる説明不足か、またあえてそのように注文していたのかは定かではありませんが。)

一緒に行った友人と同じスパイラルパーマにしました。「とにかく強くかけてくれ」と。

マダムは、「アジア人の髪の毛はやったことがないから、どうなるかしらん。」などとブツブツ言っていましたが、結果は思った以上にしっかりとかかり、大満足でした。たしか、68ユーロぐらい払ったような気がします。

友人は猫っ毛のフランス人でしたので、私よりはかからずに、「ソバージュ」程度でした。

ちなみに一斉を風靡した(?)ソバージュヘア。ソバージュはフランス語でsauvage、「野生の・粗野な」という意味ですが、果たして現地ではそのようなネーミングになっていたのでしょうか。

後日、背の高いその友人と二人で先生のアトリエに行くと、「ちっちゃいプードルと大きいコッカースパニエルが来た」と、言われたとか言われなかったとか・・・。

 

結局、雑談になってしまいましたが、奥が深いルリユールをもっと詳しく知りたいっ!という方は、是非11月開催のフラグムサロンへお越しくださいませ。

メンバー一同お待ちしております。

 

 

つづく・・・。



  1. Junichiro Tanabe said:


     毎度お世話様です。5月のイベントに参加した者です。
     ミラクルワールド連載中に話題を変えて質問します。もし余計でしたら、見放してください。
     蔵書票を作るにはどんな方法がありますか?
    自分が購入した古書に、蔵書票を貼ることを夢見て(?)います。が、古書店で見かけると、剥がされていたりすることもあります。多くの人出を渡り歩いた古書の場合、蔵書票がどんな運命をたどっているのか、ご存知でしたら、連載に載せてください。
     よろしくお願いします。
                                                田邉 淳一郎

  2. Minako said:


    田邉さま

    コメントありがとうございます。
    徒然なるままに書いているミラクルワールドをご覧いただきありがとうございます。
    蔵書票の件ですが、少し先の話になってしまうかもしれませんが、
    色々と調査をしまして、ぜひとも取り上げたいと思います。
    今後は脱線ばかりでなく、真面目な専門的なことも取り上げていきますので、
    またご意見・ご希望がございましたら、お知らせください。
    よろしくお願いいたします。

    frgm 中村



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